平成23年度・センター試験「簿記・会計」の詳細データ

受験者数(前年度) 平均点(前年度) 最高点 最低点 標準偏差
1,372人(1,367人) 50.94点(40.77点) 98点 6点 18.74
問題 出題内容 配点 正答率
第1問 個人企業の取引の仕訳、勘定科目、金額を推定する問題 20点 約6.5割
株式会社における株式の発行、社債の発行、社債の償還、剰余金の処分に関する仕訳、金額、用語を答える問題 20点
第2問 個人企業の取引、総勘定元帳、補助簿から勘定科目、金額、手形の関係人、仕訳を答える問題 30点 約5.5割
第3問 個人企業の決算前合計試算表、決算整理事項等から損益勘定を作成し、翌年の特殊仕訳帳、普通仕訳帳から合計試算表の金額を答える問題 30点 3割弱

 上の「出題内容」部分をクリックすると、説明箇所にジャンプします。なお、センター試験の過去問(問題・解答)は、公式サイトの過去のセンター試験データページから無料でダウンロードすることができます。

第1問 ほとんどが簡単な問題!ここで8割以上は取りたいところです。

A とても簡単な問題なので、満点を取らなければいけません!

 個人企業の取引の仕訳、勘定科目、金額を推定する問題です。【ア】については、資料2から4月2日の取引を探すと、現金勘定の借方に受取手数料がありますので、現金を受け取ったと判断し、選択肢の0の郵便為替証書を選ぶことになります。

 会計上は紙幣・硬貨だけでなく、郵便為替証書・他店振出小切手・配当金領収証・期限到来済みの公社債利札・送金小切手なども現金として取り扱いますので、間違えてしまった方は気をつけてください。

 次に【イ】については、資料1の4月6日の問題文に、「当店は納税通知書を受け取った時点で、負債を計上する方法を採用している」とありますので、まずは納税通知書を受け取った時の仕訳をイメージした上で、納税時の仕訳を導き出すと分かりやすいです。

納税通知書を受け取ったときの仕訳
(借)租税公課 30 (貸)未払税金 30
納税時の仕訳(4月6日)
(借)未払税金 30 (貸)現金 30

 【ウ】【エ】【オ】【カ】【キ】については、4月13日と27日の仕訳を書きだしてみると簡単です。27日の仕訳のポイントは、20円の付随費用を固定資産の取得原価に含めて処理する点です。

4月13日の仕訳
(借)通信費 20
(借)租税公課 80
(貸)現金 100
4月27日の仕訳
(借)備品 320 (貸)当座 170
(貸)未払金 130
(貸)現金 20

 【ク】【ケ】については、資料2の商品売買益勘定から分記法を採用していることが分かりますので、当座勘定と商品勘定の4月19日の金額の差額から、商品売買益110円を算定します。

 【コ】【サ】【シ】【ス】については、当座取引を二勘定制で処理した場合の仕訳が問われています。まず、貸方の勘定科目には「当座預金」と「当座借越」の2つが入ることになりますが、当座借越の金額が確定しないと買掛金・当座預金の金額も確定しませんので、必然的に下の60円のほうが当座借越ということになります。

 次に、当座借越を60円計上するということは、資料2の当座勘定が60円の貸方残になっていることを意味しますので、貸借差額で当座勘定の貸方の買掛金の金額250円を算定します。

B 現行の「会計」の教科書の「会計の基礎」分野から初めての出題!

 株式会社における株式の発行、社債の発行、社債の償還、剰余金の処分に関する仕訳、金額、用語を答える問題です。「会計の基礎」分野から初めての出題だったのでびっくりした方も多かったと思いますが、ひとつひとつの問題の難易度はたいしたことないので、落ち着いて解答できたかどうかがポイントになります。

 まず、(1)は株式の発行に関する問題です。会社法では「払込総額の2分の1までを資本準備金として処理することが出来る」と規定していますので、本問の場合、払込総額300円の2分の1の150円を資本準備金で処理します。

原則(全額を資本金計上)
(借)当座預金 300 (貸)資本金 300
容認(半分まで資本準備金でOK)
(借)当座預金 300 (貸)資本金 150
(貸)資本準備金 150

 (2)(3)(5)については、単純に知っているか知らないかだけの問題ですので、特に解説することはありません。(4)の社債の発行についても、額面総額ではなく払込金額をもって負債計上することを知っていれば簡単な問題です。

 (6)の利益処分については、決議時にすぐさま配当金が支払われるわけではないという点がポイントになります。具体的には、決議時にいったん未払配当金を計上しておいて、支払時にそれを振り替えることになります。

決議時の仕訳(配当部分のみ)
(借)繰越利益剰余金 120 (貸)未払配当金 120
後日、配当金支払時の仕訳
(借)未払配当金 120 (貸)現金等 120

 なお、配当を行う場合は、配当金支払額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、利益準備金の積立を行う必要があります。

 具体的には、「①配当金支払額の10分の1」と「②資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するのに必要な金額」を比較して、どちらか小さい方の金額を積み立てることになります。

  • ① 120円×0.1=12円
  • ② 1,200円÷4-(200円+90円)=10円
  • 12円 > 10円 → よって、利益準備金の要積立額は10円

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第2問 特殊商品売買・手形記入帳のところがちょっと難しいかも…

 個人企業の取引、総勘定元帳、補助簿から勘定科目、金額、手形の関係人、仕訳を答える問題です。各取引の難易度はそれほど高くはないもののボリュームがやや大きく、金額も総勘定元帳や補助簿から自分で拾ってくる必要がありますので、この問題で多くの時間を費やしてしまって、第3問の途中で時間切れになってしまう受験生が多かったようです。

 なお、本問の解き方としては、資料2・資料3のデータを参考にして、資料1の6月中の取引の仕訳を実際に書きだした上で、資料2・資料3の各空欄部分を埋めていく方法が良いと思います。仕訳は以下のとおりです。

2日 (借)仕入 240 (貸)支払手形 240
4日 (借)受取手形 150
(借)売掛金 120
(借)発送費 15
(貸)売上 270

(貸)現金 15
7日 (借)仕入 480 (貸)支払手形 450
(貸)現金 30
9日 (借)売上 20 (貸)売掛金 20
11日 (借)受取手形 480
(借)売掛金 330
(貸)売上 810
12日 (借)仕入 140 (貸)売掛金 90
(貸)買掛金 50
13日 (借)買掛金 10 (貸)仕入 10
15日 (借)当座預金 125 (貸)仮受金 125
17日 (借)仮受金 125
(借)試用仮売上 125
(貸)売上 125
(貸)試用品 125
19日 (借)前払金 100 (貸)当座預金 100
21日 (借)未着商品 300 (貸)支払手形 200
(貸)前払金 100
22日 (借)売掛金 375
(借)仕入 300
(貸)売上 375
(貸)未着商品 300
24日 (借)積送品 525 (貸)仕入 500
(貸)現金 25
30日 (借)売掛金 640
(借)仕入 525
(貸)売上 640
(貸)積送品 525

 それでは、注意すべき仕訳をいくつかピックアップして解説していきます。まず、4日の売上時の当店負担の運賃については、発送費等の勘定を使って処理します。一方、7日の仕入時の当店負担の(引取)運賃については、仕入勘定に含めて処理します。売上諸掛・仕入諸掛は典型的な引っ掛け論点ですので、間違えないように気をつけてください。

 次に9日の仕訳で売上値引が、13日の仕訳で仕入値引が発生していますが、商品有高帳には売上値引の取引は記入しませんので気をつけてください。商品有高帳には、通常の仕入取引・売上取引のほか、仕入値引・仕入戻し・売上戻りを記入します。

 17日の試用品売買の取引については、資料2の仕入勘定に17日の取引が記入されていませんので、手元区分法ではなく対照勘定法で処理していると判断します。よって、問4の「前月にB商品を京都商店に発送した時の仕訳」は、対照勘定を使って売価で備忘記録をしていたと判断します。

 21日・22日の未着品売買の取引については、資料2の売上勘定と仕入勘定から、先に22日の仕訳を明らかにした上で21日の仕訳を考えます。また、24日・30日の積送品売買の取引についても同様に、資料2の現金勘定・売上勘定・仕入勘定から仕訳を考えます。

 最後に、受取手形記入帳の【ネ】に入る商店名については、受取手形記入帳のひな型が分かっていないと厳しい問題でしたが、逆に上段の( )の部分に「支払人」「振出人または裏書人」という言葉が入ると知っていた人にはボーナス問題になったと思います。

 なお、受取手形記入帳の「支払人」欄には手形代金を支払う義務がある人が入りますので、本問の場合は為替手形を引き受けた滋賀商店が入り、「振出人または裏書人」欄には支払人が払わなかった場合に代わりに払う義務が発生する人が入りますので、本問の場合は為替手形を振り出した京都商店が入ることになります。

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第3問 【ア】~【サ】までは簡単。でも【シ】以降はかなり難しいです

 個人企業の決算前合計試算表、決算整理事項等から損益勘定を作成し、翌年の特殊仕訳帳、普通仕訳帳から合計試算表の金額を答える問題です。第3問については4年連続で本支店会計から出題されていましたが、今回は新形式の問題が出題されましたので、びっくりした方も多かったと思います。

 なお、本問の正答率は3割弱とかなり低い数字になっていますが、これは第2問に時間がかかってしまい第3問を解く時間がなくなってしまったこと、【シ】~【フ】までの難易度がかなり高かったこと、の2つが主な原因だと思います。

 それでは、早速問題を見ていきましょう。まず解答手順についてですが、以下のような流れで解いていくことになりますのでご確認ください。

  1. 資料2の決算整理事項等の仕訳を考える
  2. 1の仕訳と、資料1の合計試算表の金額から、資料3の損益勘定を完成させる
  3. 各勘定の前期末残高と資料4・5の金額から、資料4・5のブランクになっている金額を算定する

 まず、1の「資料2の決算整理事項等の仕訳を考える」ですが、仕訳は以下のとおりです。

決算整理仕訳
(1) (借)売上 50 (貸)売掛金 50
(2) (借)現金過不足 8 (貸)買掛金 5
(貸)雑益 3
(3) (借)仕入 240
(借)繰越商品 270
(貸)繰越商品 240
(貸)仕入 270
(4) (借)貸倒償却 4 (貸)貸倒引当金 4
(5) (借)減価償却費 72 (貸)備品減価償却累計額 72
(6) (借)有価証券 5 (貸)有価証券評価益 5
(7) (借)前払保険料 2 (貸)保険料 2
(8) (借)消耗品 3 (貸)消耗品費 3
(9) (借)支払利息 2 (貸)未払利息 2
(10) (借)資本金 12 (貸)引出金 12

 それでは、注意すべき仕訳をいくつかピックアップして解説していきます。まず、(2)の現金過不足に関する仕訳については、資料1の合計試算表の貸方に現金過不足8が計上されていますので、まずはこれを消すために同額の現金過不足8を借方に計上します。次に、資料3の損益勘定から貸方に雑益3を計上したことが分かりますので、貸借差額を買掛金で処理します。

 次に、(4)の貸倒引当金に関する仕訳については、「(1)で売掛金が50減っているのを忘れずに考慮すること」と「資料1は合計試算表なので、金額計算時には借方だけでなく貸方の金額も忘れずに考慮すること」の2点に気をつけてください。

 (7)の保険料の繰延に関する仕訳については、問題文の「毎年1月末日に2月からの1年分を前払いしている」から、資料1の合計試算表の保険料26は13か月分の金額になっていると判断し、1か月あたりの保険料を算定した上で、保険料の繰延の仕訳をします。


 次に、2の「1の仕訳と、資料1の合計試算表の金額から、資料3の損益勘定を完成させる」ですが、上記の仕訳を資料3の損益勘定に反映させるだけですので特に問題ないと思います。

 ただ、1点だけ・・・借方の一番下の( )にはどんな勘定科目が入るか分かりますか?答えは「資本金」です。分からなかった方は、決算振替仕訳(損益振替+資本振替)が理解できていないことになりますので、教科書に戻って復習しておいてください。


 最後に、3の「各勘定の前期末残高と資料4・5の金額から、資料4・5のブランクになっている金額を算定する」ですが、これは算定するのがややこしいのでひとつひとつ確認していきます。

 まず、【シ】【ス】については、はじめに資料4の現金出納帳の「前月繰越」の金額を埋めますが、この金額は資料1の合計試算表の現金勘定の金額(120の借方残)から引っ張ってきます。

 次に、同じく現金出納帳の「売上」の金額が分かりませんので、資料4の売上帳をチェックします。すると、1月10日の取引がここに入ることが分かりますので、10という金額を引っ張ってきます。

 すると、現金出納帳の左側部分の金額が全て埋まりますので合計金額を算定し、右側部分との差額で「次月繰越」の【シ】【ス】の金額を算定します。

 【セ】【ソ】については、資料5の合計試算表の給料勘定の金額(借方23)と、資料4の普通仕訳帳の1月25日部分から、以下のような仕訳を導き出して金額を算定します。

給料に関する仕訳
(借)給料 23 (貸)当座預金 21
(貸)所得税預り金 2

 【タ】【チ】については、仕入帳の総仕入高の金額が入ることになりますので、9日と21日の諸口の金額を現金出納帳・当座預金出納帳から引っ張ってきて、総仕入高95という金額を算定します。純仕入高の金額にしないように気をつけてください。

 【ツ】については、1月に発生した旅費の金額が入ることになりますので、現金出納帳の12日・14日の部分から以下のような仕訳を導きだして金額を算定します。

12日の仕訳
(借)仮払金 4 (貸)現金 4
14日の仕訳
(借)旅費 3
(借)現金 1
(貸)仮払金 4

 【テ】については、1月に借方に計上した消耗品費の金額が入ることになりますので、期首に行う再振替仕訳と現金出納帳の28日の部分から以下のような仕訳を導きだして金額を算定します。再振替仕訳に気づけたかどうかがポイントになります。

再振替仕訳
(借)消耗品費 3 (貸)消耗品 3
28日の仕訳
(借)消耗品費 6 (貸)現金 6

 【ト】については、普通仕訳帳の1日の仕訳から算定することになりますが、売却した備品は前期末残高の320ではなく、その4分の1の80であることに気づけたかどうかがポイントになります。

 よって、借方の累計額の金額も前期末残高144(決算整理前試算表残高72+決算整理仕訳72)の4分の1の36が入ることになりますので、固定資産売却損の金額は貸借差額で7と算定します。なお、期首(1月1日)に売却していますので減価償却費は発生しません。

1月1日の固定資産売却の仕訳
(借)未収金 37
(借)備品減価償却累計額 36
(借)固定資産売却損 7
(貸)備品 80

 【ナ】【ニ】については、1月中に貸方に計上された売掛金の金額が入ることになりますので、資料4の現金出納帳の15、当座預金出納帳の26、売上帳の5、普通仕訳帳の1を足しあわせて算定します。売上帳の5と普通仕訳帳の1を忘れずに集計できたかどうかがポイントになります。

 【ヌ】【ネ】【ノ】については、買掛金勘定の前期末残高+1月中に貸方に計上された買掛金の金額が入ることになります。まずは資料1の合計試算表の買掛金勘定の金額(250の貸方残)と資料2(2)の仕訳の金額5を足しあわせて、買掛金の前期末残高255を算定し、さらに、この金額に資料4の仕訳帳の70を足しあわせて325という金額を算定します。

 【ハ】【ヒ】【フ】については、1月中の取引の影響はありませんので、資料1の合計試算表の資本金勘定の金額1,100から、資料2(10)の仕訳の金額12と、資料3の損益勘定から判明する資本振替の金額15を加減して、1,103という金額を算定します。

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まとめ

 平成23年度のセンター試験「簿記・会計」は、第1問のボーナス問題が去年よりも多かったものの、相変わらず第2問のボリュームが大きかったり、第3問の後半部分がかなり難しかったこともあって、平均点は50.94点に留まりました。

 去年の平均点が40.77点だったことを考えると、一気に簡単になったように思えるかもしれませんが、「簿記・会計」と同じく、商業高校生向けの「情報関係基礎」の平均点が60点前後で安定的に推移している(ちなみに23年度の平均点は63.46点で、簿記・会計の平均点とは12.52点差)ことを考えますと、まだまだ平均点が低すぎると思います。

 なお、今回の試験の特徴は「第1問のBで初めて「会計の基礎」分野から出題された」「第3問が4年連続で出題されていた本支店会計ではなく新形式の問題が出題された」という2点ですので、平成24年度以降の試験対策の参考にしてください。



平成22年度 平成23年度 -

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