平成21年度・センター試験「簿記・会計」の詳細データ

受験者数(前年度) 平均点(前年度) 最高点 最低点 標準偏差
1,348人(1,253人) 50.07点(50.11点) 100点 0点 19.79
問題 出題内容 配点 正答率
第1問 取引要素の結合に関する問題 20点 約6割
株式会社における当座預金を通して、
仕訳及び総勘定元帳への転記を問う問題
20点
第2問 個人企業の通常取引を各種帳簿に記入させる問題 30点 5割台前半
第3問 本支店会計の決算に関する問題 30点 2割台後半

※上の「出題内容」部分をクリックすると、説明箇所にジャンプします。

第1問

A 簡単な問題ばかりなので、必ず満点を取らなければいけない問題です!

 取引要素の結合に関する問題です。問1は簡単すぎるので省略して問2から考えていきますが、本問(1)(2)は3分法と分記法による処理の違いを問う問題です。具体的な解き方としては「実際に仕訳を切って、取引要素の結合関係に置き換えていく」ことになります。

 特に難しい問題はありませんが、(3)の整地費用の処理について間違いが多かったようです。当該費用は土地の購入にともなう「付随費用」になりますので、取得原価に含めて処理することになります。収益的支出として費用処理しないように気をつけてください。

(1)青森商店から商品¥50を仕入れ、代金は掛けとした。
3分法 (借)仕入 50 / (貸)買掛金 50 費用の発生 負債の増加
分記法 (借)商品 50 / (貸)買掛金 50 資産の増加 負債の増加
(2)商品(原価¥80)を盛岡商店へ¥100で販売し、代金は現金で受け取った。
3分法 (借)現金 100 / (貸)売上 100 資産の増加 収益の発生
分記法 (借)現金 100 / (貸)商品 80
              (貸)商品販売益 20
資産の増加 資産の減少
収益の発生
(3)かねて購入した営業用の土地を整地し、整地費用¥100を現金で支払った。
- (借)土地 100 / (貸)現金 100 資産の増加 資産の減少
(4)給料¥150の支払いにあたり、所得税額¥10を差し引き、残額を現金で支払った。
- (借)給料 150 / (貸)預り金 10
           (貸)現金 140
費用の発生 負債の増加
資産の減少

 問3・問4は、取引要素の結合から取引を推定させる問題ですが、各仕訳を頭の中でイメージするか実際に仕訳を切って、正しい選択肢を選ぶだけです。問5については、①の商品売買契約は簿記上の取引ではないので、「仕訳なし」となり、いずれにも記入されないことになります。

B 会計分野からの出題!単位に気をつけて解答してください!

 株式会社における当座預金を通して、 仕訳及び総勘定元帳への転記を問う問題です。具体的な解答手順としては、まず資料1の「岡山商事の取引の一部」の仕訳を切って【ス】~【ト】を埋め、その後、資料3の「鳥取商事の取引の一部」の仕訳を切って【ナ】【ニ】を埋めていくことになります。

2月1日 (借)当座預金 5,000 (貸)手形借入金 5,000
3月1日 (借)当座預金 10,000 (貸)社債 10,000
3月30日 (借)未払配当金 400 (貸)当座預金 400
5月10日 (借)当座預金 60,000 (貸)資本金 45,000
(貸)資本準備金 15,000
8月31日 (借)社債利息 150 (貸)当座預金 150
9月30日 (借)手形借入金 5,000
(借)支払利息 120
(貸)当座預金 5,120

 3月1日の社債の利率【ス】【セ】に関しては、資料2の8月31日の150という金額から逆算して計算し、5月10日の取引で¥15,000増加した【ソ】に関しては、会社法第445条3項の「資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない」より、資本準備金勘定が入ると判断することになります。

 なお、5月10日や9月30日のように、当座預金勘定の相手科目が複数になる場合、資料2の当座預金勘定には「諸口」と記入することになります。

3月1日 (借)有価証券 3,000 (貸)当座預金 3,000
5月10日 (借)有価証券 6,100 (貸)当座預金 6,100

 5月10日の仕訳に関しては、買入手数料¥100を有価証券の取得価額に含めて処理する点に気をつけてください。

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第2問 パズル的要素の強い、センター試験特有の問題です!

 個人企業の通常取引を各種帳簿に記入させる問題です。本問は、パズル的要素の強い問題ですので、基本的には分かるところからどんどん埋めていくだけですが、【ア】~【ハ】について簡単にみていきましょう。

 【ア】については、資料1の3日の取引の「保証債務の時価は¥4とする。」から保証債務費用勘定が入ることが分かります。【イ】については、資料1の8日の取引の「船荷証券を受け取った。」から未着商品勘定が入ることが分かります。

 【ウ】については、資料1の11日の取引の「約束手形が不渡りとなり、同店に対して償還請求を行った。」から不渡手形勘定が入ることが分かります。【エ】については、資料1の13日の取引の「販売を委託するため、兵庫商店にB商店を発送した。」から積送品勘定が入ることが分かります。

 【オ】については、資料1の18日の取引の「13日に販売を委託したB商品すべてを売り上げたむねの通知があったが、手取金は受け取っていない」から売掛金勘定が入ることが分かりますが、先の4つに比べて正答率がかなり低かったとのことですので、委託販売の一連の仕訳が怪しい人は、必ずテキストに戻って復習するようにしてください。


 【カ】については、資料3の売掛金元帳の大分勘定から売掛金の金額(¥85)を引っ張ってきて、貸借差額で算定することになります。【キ】【ク】については、資料4の仕入勘定から仕入の金額(¥330)を引っ張ってくるとともに、資料3の売掛金元帳の大分勘定から売掛金の金額(¥310)を引っ張ってきて、貸借差額で算定することになります。

 【ケ】については、資料3の現金出納帳から現金の金額(¥304)を引っ張ってくるとともに、資料2の仕訳帳の11日の仕訳から不渡手形の金額(¥303)を引っ張ってきて、貸借差額で算定することになります。【コ】【サ】【シ】については、資料2の仕訳帳の2日の仕訳の売掛金勘定から引っ張ってくることになりますが、当該売掛金の金額は、資料4の売上勘定の7月2日の諸口の金額(¥520)を引っ張ってきて、貸借差額で算定することになります。

 【ス】【セ】【ソ】【タ】については、資料2の仕訳帳を見ながら、資料3の商品有高帳を完成させる過程で導き出します。【チ】【ツ】については、資料4の売上勘定から金額(¥280)を引っ張ってくることになります。【テ】【ト】【ナ】については、資料2の仕訳帳の13日の仕訳の仕入勘定から引っ張ってくることになりますが、当該仕入の金額は、資料3の現金出納帳から現金の金額(¥10)を引っ張ってきて、貸借差額で算定することになります。

 【ニ】【ヌ】については、資料2の仕訳帳の18日の仕訳の売掛金勘定から引っ張ってくることになりますが、「売り上げは手取金額で計上する」という資料1の指示を見落とさないように気をつけてください。


 【ネ】【ノ】【ハ】については、資料4の仕入勘定の借方合計¥1,190(=¥400+¥330+¥200+¥260)が入ることになります。

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第3問 正確な仕訳を切れるかどうかがカギになります!

 本支店会計の決算に関する問題です。本問の正答率は2割台後半という低い数字になったようですが、これは問題自体が難しかったというよりも、第1問・第2問までの解答で制限時間60分の大半を消費してしまい、第3問の途中で時間切れになってしまったものと推測されます。実際に問題を解いていただくとお分かりいただけますが、問4の【ハ】【ヒ】以外はそれほど難しいわけではありません。

 それでは早速、問題のほうを見ていきますが、【ア】【イ】【ウ】については、資料2の売掛金勘定の次期繰越額(¥400)をヒントにして金額を算定することになります。【エ】【オ】については、資料3の(5)の「家賃は毎年8月1日に1年分を前払いしている」という一文から、期首に再振替仕訳を切っていることが分かりますので、借方と同じ金額(¥70)が入ると判断することができます。

 【カ】については、「貸倒引当金が期中に減少している→売上債権の貸倒れ」と判断し、売掛金勘定を記入することになります。【キ】については、12月31日という日付から決算整理で貸倒引当金を設定した取引(資料3の2)ということが分かりますので、貸倒償却勘定を記入することになります。

 【ク】については、12月31日という日付から決算整理で支払家賃を繰延処理した取引(資料3の5)ということが分かりますので、前払家賃勘定を記入することになります。【ケ】については、12月31日という日付から決算整理で支払利息を見越処理した取引(資料3の6)と・・・したいところですが、未払利息勘定は借方のほうに記入されますので、貸方には損益勘定を記入することになります。


 【コ】【サ】【シ】については、商品ボックスの図を書いて求めてください。まず、資料1の合計試算表の繰越商品勘定(¥240)と仕入勘定(¥838=¥910-¥72)から期首商品棚卸高・当期商品仕入高の各金額を把握し、さらに問題文から期末商品棚卸高の金額(¥242)を引っ張ってきて、差額で売上原価の金額(¥836)を算定することになります。仕入勘定の貸方の金額(¥72)を忘れないように気をつけてください。

商品ボックス画像1

 【ス】については、売掛金の期末残高(¥400)に2%を掛け合わせて繰入額(¥8)を算定しますが、資料1の合計試算表に計上されている貸倒償却の金額(¥1)を忘れずに加味するようにしてください。【セ】【ソ】については、資料3の(3)に「減価償却は直接法によって記帳している」とありますので、合計試算表の備品の金額(¥364)から繰越試算表の備品の金額(¥328)を差し引いて算定することになります。

 【タ】については、資料3の(7)に「支店は当期純利益¥( )を計上し、本店はこの報告を受けた」とありますので、本店の損益勘定の貸方に支店の利益を計上することになります。以下、参考までに本店と支店の損益振替の仕訳を載せておきます。

支店の仕訳
(借)損益 10 / (貸)本店 10
本店の仕訳
(借)支店 10 / (貸)損益 10

 【チ】【ツ】については、資料3の(4)に「時価に評価替えする」とありますので、合計試算表の有価証券の金額(¥90=借方¥180-貸方¥90)と損益勘定のの有価証券評価益の金額(¥7)を足し合わせて算定することになります。

 【テ】【ト】については、資料3の(5)から、平成×6年1月1日から同7月31日までの7か月分の家賃を前払いしていることが分かりますので、「1年間の家賃は¥132である」という一文から、1か月あたりの家賃の金額(¥11/月=¥132÷12か月)を算定して、7か月分の前払家賃の金額(¥77=¥11/月×7か月)を導き出します。以下、参考までに期首の再振替仕訳・期中仕訳・決算整理仕訳を載せておきますので、ぜひ参考にしてください。

期首の再振替仕訳
(借)支払家賃 70 / (貸)前払家賃 70
期中仕訳
(借)支払家賃 132 / (貸)当座預金 132
決算整理仕訳
(借)前払家賃 77 / (貸)支払家賃 77

 【ナ】【ニ】については、資料3の(6)から1年間に支払うべき利息の金額(¥40=¥800×5%)と利払日が分かりますので、未払いとなっている当期の10月1日から12月31日までの3か月分の利息(¥10=¥40×3か月/12か月)を見越し計上することになります。

 【ヌ】【ネ】【ノ】については、資料2の合計試算表に計上されている資本金の金額(¥1,200)に、資料4の損益勘定の資本金勘定へ振り替える金額(¥91)を足し合わせて¥1,291でファイナルアンサー・・・としたいところですが、資料3の(8)に「引出金を整理する」とあるように、資料2の合計試算表に計上されている引出金の金額(¥4)を差し引く必要がありますので、忘れないように気をつけてください。


 最後の問4については、問題文に「未達事項の整理は総勘定元帳には記帳していない」とありますので、決算整理後においても照合勘定(支店の本店勘定と本店の支店勘定)は資料5の未達事項の分だけズレが生じていることになります。・・・と言うことは、未達事項を反映すれば照合勘定は一致するわけですから、資料5の未達事項の仕訳を切り照合勘定を分析することによって、支店における本店勘定の次期繰越高を算定することが出来ます。

本支店間の未達事項(1)
(借)現金 10 / (貸)支店 10
本支店間の未達事項(2)
(借)仕入 12 / (貸)本店 12

 まずは、資料5より上記のような仕訳を切った上で、本店の支店勘定と支店の本店勘定を分析していきます。なお、本店の支店勘定の金額(¥88)は、資料4の繰越試算表の支店勘定から引っ張ってきています。

本店勘定・支店勘定の図1

矢印

本店勘定・支店勘定の図2

 上記のような分析を行うことによって、支店における本店勘定の次期繰越高を算定することになります。本問は、「未達事項の処理をすれば照合勘定が一致する」ということに気づけたかどうか(もしくは知っていたかどうか)がカギになります。

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まとめ

 平成21年度のセンター試験「簿記・会計」は・・・難易度的には、一部の問題を除いて平均レベルだったと思いますが、第2問のボリュームが大きかったため、第3問の途中で時間切れとなってしまう方が多かったようです。

 高得点を狙うためには、簡単だった第1問のA・Bで限りなく40点満点に近い点数を取って、第2問・第3問については部分点を着実に積み上げていくというスタンスになると思いますが、ここで気をつけていただきたいのは「ひとつの問題にはまりすぎないこと」です。

 本試験においては、「簡単そうに見えるのに、なぜか答えが出てこない」という問題に遭遇して焦ることが多々ありますが、ある程度の時間をかけても答えが出てこない場合はさっさと切り上げて次の問いに進んでください。センター試験「簿記・会計」は常に時間との戦いになりますので、「1問につき長くても●分まで」というような自己ルールを予め決めておくと良いと思います。



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