平成20年度・センター試験「簿記・会計」の詳細データ

受験者数(前年度) 平均点(前年度) 最高点 最低点 標準偏差
1,253人(1,259人) 50.11点(53.38点) 98点 0点 16.56
問題 出題内容 配点 正答率
第1問 取引要素に関する問題
5伝票制による起票ならびに仕訳集計表の作成に関する問題
20点 約6割
個人企業における決算手続きと決算整理に関する問題 20点
第2問 複合仕訳帳制度における記帳と精算表を使った決算に関する問題 30点 5割台前半
第3問 本支店会計と商品売買取引に関する問題 30点 3割台前半

※上の「出題内容」部分をクリックすると、説明箇所にジャンプします。

第1問

A 商品売買取引と一部現金取引の仕訳を正しく切れるかどうかがカギ!

 取引要素に関する問題並びに5伝票制による起票ならびに仕訳集計表の作成に関する問題です。本問はまず、問題文の「5伝票制においては、商品売買取引はすべていったん掛け取引として処理し、一部現金の収支をともなう振替取引については、現金取引とそれ以外の取引に分けて別々に起票する方法による」という指示に従って、資料Ⅰ・仕訳帳の2月1日から2月7日までの取引の仕訳を切ります。

2月1日 (借)交通費 100 / (貸)現金 100 出金伝票
2月2日 (借)買掛金 400 / (貸)当座預金 400 振替伝票
2月3日 (借)売掛金 800 / (貸)売上 800 売上伝票
2月4日 (借)売掛金 250 / (貸)売上 250 売上伝票
(借)現金 250 / (貸)売掛金 250 入金伝票
2月5日 (借)備品 10 / (貸)現金 10 出金伝票
(借)備品 90 / (貸)未払金 90 振替伝票
2月6日 (借)仕入 500 / (貸)買掛金 500 仕入伝票
(借)買掛金 400 / (貸)売掛金 400 振替伝票
2月7日 (借)売掛金 700 / (貸)売上 700 売上伝票
(借)受取手形 600 / (貸)売掛金 600 振替伝票
(借)現金 100 / (貸)売掛金 100 入金伝票
2月7日 (借)仕入 700 / (貸)買掛金 700 仕入伝票
(借)買掛金 200 / (貸)現金 200 出金伝票

 上記のように各仕訳の右側に伝票名を記入しておくと、あとの集計が楽になりますので参考にしてください。なお、センター試験「簿記・会計」は制限時間60分との戦いになりますので、実際に下書きするときは勘定名や伝票名を適宜省略して書くことをおすすめします(例:売掛金→う×、買掛金→か×、入金伝票→入、出金伝票→出)

 それでは早速、問1から考えていきますが、【ア】~【ウ】については仕訳をみて結合関係を判断するだけのボーナス問題ですので特に問題はないと思います。問2の【エ】~【カ】についても、出金伝票・振替伝票・売上伝票の数を数えるだけですし、問3の【キ】~【ス】についても、仕訳の借方と貸方の金額を記入するだけです。

 つまり、本問は「ルールに従って仕訳を切れるかどうか」がポイントになります。正しく仕訳を切ることができれば容易に満点が取れますし、1つでも正しくない仕訳を切ってしまうといろんな箇所で失点しまうことになります。4日以降の商品売買取引と一部現金取引に特に気をつけて仕訳を切るようにしてください。

B ひっかけポイントがたくさん潜んでいる問題です!

 個人企業における決算手続きと決算整理に関する問題です。まず問1の当座預金【セ】【ソ】については、合計試算表の貸方に当座借越100が計上されていますので、貸借同額になっていると判断することになります。

 消耗品・消耗品費関連の【タ】【ト】【ナ】については、期首の再振替仕訳と期末の決算整理仕訳をイメージできるかどうかがカギになります。

期首の再振替仕訳
(借)消耗品費 13 / (貸)消耗品 13
期末の決算整理仕訳
(借)消耗品 10 / (貸)消耗品費 10

 【チ】の現金過不足については、問1・なお書きの「決算になっても現金過不足の原因は不明であった」から、雑損か雑益に振り替えられていることが分かりますので、損益勘定に計上されている雑損から金額を引っ張ってきます。

 【ツ】【テ】の貸倒引当金については、損益勘定の貸倒引当金戻入の金額(¥2)と繰越試算表の貸倒引当金の金額(¥10)から、頭の中で「x-2=10」という一次方程式をイメージして算定します。

 【ニ】【ヌ】の繰越商品については、商品ボックスの図を書いて求めてください。まず、合計試算表の繰越商品勘定(¥350)・仕入勘定(¥980)から期首商品棚卸高・当期商品仕入高の各金額を把握し、さらに損益勘定の仕入勘定(¥950)から売上原価の金額を把握して、差額で期末商品棚卸高の金額(¥380)を算定することになります。

商品ボックス画像1

 【ネ】【ノ】の資本金勘定については、決算整理前の資本金勘定(¥770)に、当期の期間損益(¥20)を足し合わせて算定することになりますが、繰越商品の金額が埋まっていれば繰越試算表の貸借差額で算定することも出来ます。


 次に、問2の長野商店の商品売買益【ハ】【ヒ】についてですが、損益勘定の「売上」の金額(¥1,530)から売上原価を意味する「仕入」の金額(¥950)を差し引いた差額(¥580)が入ることになります。とても簡単な問題です。

 また、問3の長野商店の負債合計額【フ】【ヘ】については、貸倒引当金勘定と減価償却累計額勘定が「資産の評価勘定(=資産のマイナス勘定)」であることが分かっているかどうかがカギになります。間違えて「710」という金額を入れないように気をつけてください。

 最後に、問4の【ホ】の理論問題については、知っているか知らないかだけの問題です。③は「合計試算表は、資産・負債・資本(純資産)の勘定を締め切る前に、決算日の日付で、各勘定の次期繰越の金額を集めて作成する。」が正しい説明文になります。

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第2問 パズル的要素の強い、センター試験特有の問題です!

 複合仕訳帳制度における記帳と精算表を使った決算に関する問題です。商業高校では主に、各特殊仕訳帳の合計金額を各特殊仕訳帳から直接、総勘定元帳へ合計転記する「英米式簿記法」を勉強しているようで、本問のような、各特殊仕訳帳の合計金額を各特殊仕訳帳から普通仕訳帳へ合計仕訳してから、総勘定元帳へ合計転記する「大陸式簿記法」を採用している問題に面食らった方もいらっしゃるかもしれませんが、本問の場合は、大陸式簿記法の仕組みをきちんと理解していなくても解答できる問題ですので、最後まで諦めずに粘り強く取り組むようにしてください。

 まず、問1の【ア】~【コ】についてですが、【ア】【イ】は残高試算表の現金60から金額を引っ張ってきます。次に、【ウ】【エ】は現金出納帳の3月27日の取引から金額を引っ張ってくるとともに、当座預金出納帳を完成させて次月繰越高【オ】【カ】【キ】の金額を算定します。【ク】【ケ】【コ】は、仕入帳・売上帳を完成させて逆算することになります。


 問2については、まずは決算整理事項等の(1)~(7)までの仕訳を切り、整理記入欄に反映させた後、精算表の損益計算書と貸借対照表を完成させます。

(1) (借)仕入 220 / (貸)繰越商品 220
(借)繰越商品 121 / (貸)仕入 121
(2) (借)貸倒償却 10 / (貸)貸倒引当金 10
(3) (借)減価償却費 36 / (貸)備品減価償却累計額 36
(4) (借)有価証券 5 / (貸)有価証券評価益 5
(5) (借)未収利息 1 / (貸)受取利息 1
(6) (借)前払保険料 9 / (貸)支払保険料 9
(7) (借)法人税等 58 / (貸)仮払法人税等 30
             (貸)未払法人税等 28

 まず(1)についてですが、残高試算表の繰越商品勘定(¥220)から期首商品棚卸高を把握した上で、おなじみの「しーくりくりしー」の仕訳を切るだけです。なお、この仕訳を切ったら(2)に移る前に商品ボックスを完成させて、売上原価を算定してしまいましょう。当期商品仕入高については、残高試算表の仕入勘定(¥1,080)と仕入帳の純仕入高(¥140)から金額を引っ張ってきてください。

商品ボックス画像2

 次に(2)については、まずは売掛金と受取手形の期末残高を算定する必要があります。具体的には、2月末の残高試算表の残高に、3月中の取引を反映させて算定することになりますが、売掛金に関しては各特殊仕訳帳の特別欄になっていますので、資料Ⅲの普通仕訳帳から3月中の取引をピックアップすることが出来ますが、受取手形に関しては各特殊仕訳帳の特別欄になっておらず、普通仕訳帳では諸口に含めて表示されますので、資料Ⅱの各特殊仕訳帳から金額を拾ってくる必要があります。

 なお、(3)(4)については簡単なので特に問題ないと思いますが、(5)(6)は極端に正答率が低かったようですので、詳しくみていきましょう。

 (5)の貸付金の利息については、平成×9年11月30日に受け取る予定の1年分(12か月分)の利息(¥3)のうち、12月1日から3月31日の4か月分は当期に属することになりますので、貸方に受取利息(¥1)を計上するとともに、借方に未収利息(¥1)を計上します。

 (6)の保険料については、まず、残高試算表の保険料(¥30)というのが何か月分の保険料なのかを考えます。問題文の「保険料は、毎年10月1日に1年分を一括して支払っており」という一文から、期首に以下のような再振替仕訳を切ったことが分かります。

期首の再振替仕訳
(借)支払保険料 12 / (貸)前払保険料 12

 仕訳の12という金額は、当期の4月1日から9月30日までの6か月と、問題文の「平成×7年10月1日から平成×8年9月30日までの1か月あたりの負担額は¥2であった。」という一文から算定します。

 次に、1年分の保険料を支払ったときに切った仕訳を考えますが、この時点で金額は確定していませんので、金額の部分には「12か月分」と書いておきます。

10月1日に切った仕訳
(借)支払保険料 12か月分 / (貸)現金など 12か月分

 以上のような2本の仕訳を期中に切っていることがお分かりいただけたでしょうか?つまり、資料Ⅰの残高試算表に予め記載されている保険料(¥30)というのは、「¥12+12か月分の保険料=¥30」と表すことが出来ますので、「12か月分の保険料=¥18」となり、見直し後の1か月あたりの保険料は¥1.5ということが分かります。

 1か月あたりの保険料を算定することが出来たら、最後に費用の繰り延べの仕訳を切ることになりますが、この仕訳の金額については「~か月分の保険料」という形ではなくて、1か月あたりの保険料を元に数字を記入することが出来ますよね。具体的には6か月分の繰り延べを行いますので、1か月あたりの保険料¥1.5×6か月=¥9ということになります。

解答の仕訳
(借)前払保険料 9 / (貸)支払保険料 9

 最後の(7)については、仮払法人税等を忘れないようにしてください。

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第3問 正確な仕訳を切れるかどうかがカギになります!

 本支店会計と商品売買取引に関する問題です。本問はまず、資料1の取引から仕訳を書き出していきますが、問題文の「支店相互間の取引の記帳については本店集中計算制度を採用している。」と「本店は、商品の払出単価の決定を先入先出法によっており、本店の期首商品棚卸高は¥200(20個、@¥10)である。また、本支店間および支店相互間において、商品は原価で送付している。」をきちんと考慮するようにしてください。

本店
2日 本店 (借)仕入 450 / (貸)買掛金 450
7日 本店 (借)東京支店 150 / (貸)仕入 150
15日 本店 (借)宮崎商店 125 / (貸)仕入 125
27日 本店 (借)宮崎支店 270 / (貸)支払手形 270
29日 本店 (借)宮崎支店 45 / (貸)現金 45
30日 本店 (借)東京支店 60 / (貸)宮崎支店 60
東京支店
7日 東京支店 (借)仕入 150 / (貸)本店 150
10日 東京支店 (借)試用品 200 / (貸)試用仮売上 200
17日 東京支店 (借)売掛金 100 / (貸)売上 100
(借)試用仮売上 100 / (貸)試用品 100
30日 東京支店 (借)現金 60 / (貸)本店 60
宮崎支店
16日 宮崎支店 (借)未着品 125 / (貸)本店 125
18日 宮崎支店 (借)売掛金 200 / (貸)売上 200
(借)仕入 125 / (貸)未着品 125
27日 宮崎支店 (借)仕入 270 / (貸)本店 270
29日 宮崎支店 (借)旅費交通費 45 / (貸)本店 45
30日 宮崎支店 (借)本店 60 / (貸)売掛金 60

 なお、29日と30日の取引については、一部通知が2月にずれ込んでいますので、その他とは区別して仕訳を切るようにしてください。すべての仕訳を切り終えたら、問1・問2で問われている資料2・資料3・資料4の各空欄をどんどん埋めていきますが、特に難しいところはありませんので大丈夫だと思います。


 問3は、問題文の「神奈川商店を会計単位として」という一文が分かりづらかったかもしれませんが、これは「本店と各支店の記録をまとめた場合」と読み替えると分かりやすいと思います。

 (1)の総仕入高については、資料2・資料3・資料4の各仕入勘定から外部仕入高のみをピックアップして算定します。具体的には「450+180+270=900」となります。(2)の総売上高も同様に、資料2・資料3・資料4の各売上勘定から「610+100+200=910」と算定します。

 (3)の仕入戻し・値引高については、資料2・資料3・資料4の各仕入勘定の貸方に計上されている金額(本支店間の取引は除く)をピックアップし、(4)の売上戻り・値引高についても資料2・資料3・資料4の各売上勘定の借方に計上されている金額をピックアップします。

 (5)の支店相互間の商品の送付高についてですが、本問は本店集中計算制度を採用していますので、支店相互間で商品のやり取りがあった場合、本店では以下のような仕訳を切ることになります。

本店の仕訳
(借)東京支店 ***** / (貸)宮崎支店 *****
or
(借)宮崎支店 ***** / (貸)東京支店 *****

 これを頭に入れた上で、資料2の東京支店勘定と宮崎支店勘定をチェックすると、1月3日の取引が支店相互間取引に該当することが分かりますので、この金額を解答に・・・といきたいところですが、本問はあくまでも支店相互間の商品の送付高ですので、資料3・資料4の仕入勘定で商品のやり取りがあったことを確認したうえで解答する必要がある点に留意してください。


 最後の問4についてですが、上記の一連の仕訳から勘定残高を集計して求めることも出来ますが、通知が2月にずれ込んでしまったことが残高不一致の原因であることを理解していれば、29日・30日の3本の未達仕訳から残高差額を算定することも可能です。

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まとめ

 平成20年度のセンター試験「簿記・会計」に関しては、相変わらず「量」は多めですが、難易度的には普通レベルだったと思います。ただ、第2問の(5)(6)や、第3問の問3・問4などのように、難易度が極端に高い問題も散見されましたので、高得点を狙うためにはその他の難易度の低い問題を取りこぼすことなく確実に正解することが必須条件となります。

 なお、センター試験「簿記・会計」は、本問のように、伝票会計・帳簿組織・本支店会計から満遍なく出題されることが多いので、少なくともこの3つの論点に関しては過去問などを使ってきちんと対策を練るようにしてください。



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